ノッキングとはガソリンエンジンにおいて問題視される異常燃焼の一種です。エンジン内部でノッキングが起こると”キン,キン”といった高周波の音がわずかに聞こえてきます。
ノッキングってなにがそんなに危険なの?
場合によってはエンジン部品が溶解するなど、深刻なダメージを与えることもあります。今回はそんなノッキングについて
・なぜ、どのように発生する?
・発生したらどうなる?
・発生したときの対処法は?
これらのことを以下で解説していきます!
ノッキングのメカニズム
ガソリンエンジンはガソリンと空気が混ざった混合気を、プラグ(火花)によって点火し燃焼させています。燃焼室上部でプラグにより着火された混合気は、そこから放射状に燃え広がっていきます。燃え広がっていく過程で、その間まだ燃焼の始まっていない混合気(未燃焼ガス)が、燃焼ガスによって圧縮され高温となり、端っこに追いやられていきます。
もしこの未燃焼ガスが順々に燃え広がるのを待たずして自然発火したらどうなる??この現象がノッキングと呼ばれるものです。
発生原因として多いのは、ハイオク指定のクルマにレギュラーガソリンを使用するなど、オクタン価の不足によるものでしょう。長年の使用による燃焼室の汚れによって異常燃焼が起こりやすくなることもあります。
ハイオク仕様のエンジンは比較的圧縮比が高く、点火のタイミングも早いので燃焼室の温度圧力が高くなりやすい。理論的にはそうしたほうが効率面で有利だからだ。しかしそのようなエンジンは、ノッキングが発生しやすくなってしまう。
ノッキングはエンジンにとって深刻な問題
高圧ガスによる自然発火、自着火とはいわば爆発のようなもの。火花点火による燃焼とは燃焼速度が桁違いです。実はエンジンの燃焼室(シリンダー)の壁は直接高温の燃焼ガスには触れておらず、ガスによる温度境界層ができています。
ちょうど銭湯で水風呂に入ってしばらくじっとしていると冷たさが和らぐのと同じで、この場合、皮膚と周りの水との間に温度境界層ができているということです。そこに他のおっさんがダイブして水流が起こると、その境界層が壊されるので、冷たっ!と感じるわけです。
同じようなことがエンジン内部でも起こります。ノッキング(自着火爆発)は基本的に未燃焼ガスが追いやられるシリンダーの端部で発生します。爆発の衝撃によって、シリンダー壁など、近辺の境界層が吹っ飛んでしまうわけです。そして高温の燃焼ガスが直接金属に触れることになります。これが連続して起こると、金属の熔解へとつながります。
危険なのは高回転域でのノッキング
よく耳にするノッキングは、そのほとんどが1000~2500rpmほどの、低回転域でおこるものです。しかしこちらは、エンジンのノックセンサーによって早期に発見し制御を行うこと、また回転上昇に伴って燃焼速度が増加し、自着火反応速度に近づくため、大きな問題にはならないことが多いです。
それに対し高回転域で起こるノッキングは、エンジンに深刻な被害をもたらします。前述の通り、ノッキングを避けるべくECUはノッキングを検知し制御していますが、回転の上昇に伴いノイズが増え、検知そのものが難しくなること、また低回転域と比べスロットル開度、燃料室温度も上がるため、連続的に異常燃焼が起こってしまいます。結果、制御できないままエンジンを壊してしまうということです。
ノッキングを起こさないために
ノッキングには起こりやすい条件というものがあります。
- 圧縮比が高い。
- シリンダー径が大きい(燃焼に時間がかかるため)
- 混合気中の燃料割合が少ない(燃調が薄い)
- 点火時期が早い。
- エンジン吸気温度が高い。(夏場など)
- 湿度が低い。
- 燃焼速度が遅い(エンジン回転数が低い)
上記はノッキングの発生を促進するものですから、逆に言えばこれらを避けることでノッキングを減らすことができます。
この中には自分で対処できるもの、できないものがありますが、5-7に関しては意識することはできるでしょう。気温が高いとき、エンジンの回転数が低いときに強くアクセルを踏むと、ノッキングが発生しやすくなるので気を付けましょう。
ノッキングが発生が心配な場合、アクセル開度はほぼいつも通りで、エンジン回転を多少回し気味に走ることで、燃焼室圧力を下げつつ燃焼速度(火炎伝搬速度)を上げることができます。
またレーダー探知機等でOBDコネクタを使いエンジンの点火時期を監視すれば、オクタン価の異なる燃料や、アクセル開度の違いによる点火時期の変化が視覚化できますので、良い判断材料となるでしょう。
以上、ノッキングについてのお話でした!参考になれば幸いです(^_-)-☆
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