オプション設定でインチアップ。上位グレードはインチアップ。
車の世界では “高性能=インチアップ”といった図式が成り立ちつつある印象です。最近は特に扁平率の小さな、いわゆるペラペラの薄いタイヤを装着している車が増えてきました。
見た目の面ではいいのかもしれませんが..やたら大きなホイールを履かせて走るのはあまり車に良いこととは言えません。
と いうわけで、今回はあえてインチダウンをして厚みのあるタイヤを装着するメリットを3つに分けてご紹介します!
乗り心地・安全性能がアップ
タイヤはご存じの通りゴムでできています。
インチダウンによってタイヤの厚みが確保できると、空気を張ったタイヤの弾力がスプリングの役割をして路面の凸凹を吸収してくれるため、段差等の当たりがマイルドになり乗り心地が向上します。これは良く言われていますね。
またタイヤがしなやかに動くので、路面のうねりや轍(わだち)によるハンドルのとられが起こりにくいです。
逆にインチアップされたタイヤを履く車は、タイヤが硬くできているため路面のうねりでハンドルが左右に振られやすくなります。
このようなハンドルが取られやすい車は、無意識に肩の力を入れて運転してしまい、疲労の原因に繋がります。
インチダウンによってそういったことが軽減するだけでかなり快適になること間違いなしでしょう。
もう一つ安全上大切なのが、タイヤの耐荷重の問題です。
タイヤには一本当たり○○kgまで耐えられます、という耐荷重の指標があります!
次の表をご覧ください。
*上記の表は一部抜粋で、LIの数値はその下100以上まで続きます。
表の一番左の68~88といった数値がロードインデックス(LI)といわれる耐荷重の指標です。
空気圧が180-250kPaと増えていくにしたがってタイヤの最大負荷荷重が大きくなります。
表のように、空気を多く入れるほど耐荷重は増えていくのですが、インチアップによってタイヤが薄くなることで、同じ空気圧でも耐荷重性能は落ちていきます。
例を挙げると、あるクルマに対して220kPaの空気圧で十分だったタイヤが、インチアップすることで同等の耐荷重性能を満たすため240kPaまで空気を入れる必要がでてくるわけです。
インチアップすると空気圧を高めに入れるのは、タイヤの耐荷重性能を満たすためでもあったんですね。
自動車のタイヤは4本ですから、例えば車重が1200kgですと一本当たり最低でも300kg以上の荷重に耐えられる性能が必要となります。
また、タイヤが薄くなっていることでタイヤに入る空気の量そのものが少なくなります。
つまり空気の抜け量が同じだったとしても、厚みのあるタイヤに比べて空気圧の低下が早いのです。そのためこまめに空気圧を確認しないと危険です。
その点ある程度の厚みがあるタイヤだと空気圧の低下も比較的少ないですし、そもそもの耐荷重性能も高いので、安全性能の面では二重で有利と言えるでしょう。
ホイール&タイヤの軽量化につながる
インチダウンすることでホイールが小さくなりますから、その分軽量化されるといったことは想像いただけると思います。
自動車においてサスペンション可動部周辺の”バネ下重量”は燃費や乗り心地の面で重要とされており、タイヤの重量を軽くすることも当然それらに効いてきます。
そしてもう一点加えたいのが、タイヤに関しても扁平率の小さないわゆる薄いタイヤは実はあまり軽くないということ。
タイヤが薄くなると、地面とホイールとの距離が当然近くなり、リム打ちといったホイール損傷のリスクが高まります。そういったことを避けるために、薄いタイヤは硬く補強された上で空気圧を高く設定して使用されます。
インチアップ用の薄いタイヤは金属ベルトの補強材が多く使われているので、タイヤ自体も意外と重たいのです。
少々余談になりますがインチアップの機能的な意図とは何かわかりますか?
見た目といった主観的な要素を除いて考えられるのは、ブレーキの冷却&容量アップによるものです。
ホイールの内側には当然ブレーキが収まりますよね。スポーツカーなど高速度からのストッピングパワーを要求される車は大径ブレーキを装着する必要性がでてきます。その際にホイールサイズを大きくして大きなブレーキを収めるわけです。
ブレーキサイズが小さいままホイールだけ大きいような場合ですと、ホイール内側とブレーキ間のすきまが大きくなりますからブレーキの冷却性能が多少向上すると期待されます。
市販車の場合はほとんど無意味、ですけどね
機能美の面から言えば、ホイールのサイズに合ってない小さなブレーキは格好良いとは言えない…かもしれませんね。
タイヤ価格が安くなる
やっぱりこれが一番でしょう!
インチダウンすることによってタイヤの値段が大きく下がります。2~3割程度安くなることもしばしば。これは大きいですよね。笑
予算が限定される方は、同じ価格でタイヤを選ぶ場合1インチダウンするだけでより上級グレードのタイヤが選択肢に入ります。
同価格帯であれば自分がタイヤに求める性能に合わせてより良いタイヤを選べるわけですから、インチダウンしたほうが走りの面では満足できる可能性が高いです。
まとめ~インチダウンのメリット
いかがだったでしょうか。
公道にはギャップやうねりも多く、また空気圧管理などの問題もあって、やたらインチアップされた低扁平タイヤを履くのは少なくとも合理的ではありません。
できるだけ大きなホイールを履かせたいといった考えに1ミリでも疑問を持たれた方。
一度インチアップ沼から抜け出して、適度に厚みを持たせた走行フィール重視のタイヤ選びをしてみませんか?
見た目も走りも一歩大人になろうことと思います。
以上、インチダウンで豊かなカーライフを!!
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