アライメント調整ってそんな大切?特に問題なく走れているしそんなに影響ないんじゃないの?
そう思われている方もいらっしゃると思います。しかし、ホイールアライメントはタイヤや車体への負担はもちろん、自動車の操縦性にも大きくかかわるとても大切な要素です。
ゴムブッシュ等の経年劣化に加え、車高のカスタムやホイールのオフセットなど、アライメントは我々が手を出しやすいカスタム領域で簡単に狂ってしまいます。
今回はアライメント変化が及ぼす影響、市販車における制約など、実際の事情も交えてその重要性-必要性をお伝えしたいと思います。
まずはアライメントのおさらい
アライメントとは4輪のタイヤにわずかについている角度のことをいいます。自動車のタイヤは進行方向に対してまっすぐ向いていると思われがちですが、わずかに内向きになっていたり、倒れこんでいたりします。
アライメントの測定項目は様々ありますが、主に調整項目として重要視されるのが”トー角” ”キャンバー角” の2種類です。
トー角:クルマを上から見たときに分かる、タイヤについている角度のこと。ちょうどハンドルを切ったときの前タイヤの動きはトー角の変化方向の動きになります。
キャンバー角:クルマを前や後ろから見たときに分かる、タイヤについている角度のこと。キャンバー角をたくさんつけている改造車は、タイヤがハの字に見えるようになります。
アライメントの必要性に気づくには
それでは本題に入っていきます。
アライメントの影響を判別するのは難しい
アライメントがタイヤの摩耗等に影響を及ぼすことは説明しましたが、正直なところ、タイヤの減り方は運転の癖に左右されることが多く、アライメントが原因とも言い切れません。
実際アライメントの狂いがなくとも、急なハンドル操作が癖になっている方は、タイヤの外側のみがすり減っているのをよく見かけます。
ではアライメントの影響を知るにはどうすればよいのか。
一番確実なのは”自分の愛車と同じ車種を運転する”ということです。
私がアライメントの重要性に気が付いたのは、自分と同じ車に試乗したときのことでした。
アライメントと走行性能-フィーリング
点検整備等でディーラーに愛車を預けた際、代車で同車種を乗る機会があったとき。もしくはクルマ好きの集まりで、ほかの人のクルマを運転させてもらったときなど。
もちろん車にもよりますが、アライメントを変更すると車の走行フィールががらっと変わります。いつも乗っている同じ車のはずが、ハンドル切ったとき車全体の挙動が違うといったように。これまで多くの車のアライメントを見てきましたが、特にリア側トー角の微調整は挙動変化として大きいです。
タイヤを新しく交換したときの違いとは少し違います。少し表現が難しいのですが…タイヤを交換したときは下回りのしっかり感やフィーリング変化を感じますが、アライメントはボディ全体の動きが変わる印象。
もちろんアライメント変更の影響はスポーツ走行のような運転だけではなく、街中で滑らかに走らせていても感じるものでした。
最初は私も半信半疑のままアライメント調整を行っていましたが、アライメントによるドライブフィールの変化を知って以来、自分でアライメントを研究し、調整も行っています。わずかな角度の違いが感覚の違いとして確実に表れるので驚きますね。
ちなみにアライメントは車を設計する上でも重要視されています。
自動車のタイヤの動きはサスペンションアームを支点に回転運動をしているため、段差等でタイヤが動いたとき、必ずアライメント変化を起こします。その変化量をいかに小さくするのかが足回りを開発するうえでの重要ポイントとなります。特にスポーツカーにおいて完成度の高い足回りを持っている車は、総じてアライメント変化が少なく挙動が穏やかといわれています。
アライメントの実情-調整できないクルマ
自動車の足回り、サスペンションの構造はクルマによって様々です。
ホイールアライメントではトー角やキャンバー角を主に調整するといいましたが、車種によって調整するための機構が付いていないクルマもあります。例えば軽自動車など、比較的安価なクルマのリアサスペンション(トーションビーム式など)は、トーやキャンバーの調整ができなかったりします。
ですが、アライメントは前後左右輪が相互に影響しあうものです。そのため一部しか調整できない車は、4輪での影響を総合的に見てアライメント調整されます。つまりそのようなクルマは、調整できる箇所で、調整できない所の狂いによる影響を抑えるようトータルでセットアップされます。非常に奥が深いですね。
フロントタイヤのトー角は調整できる場合がほとんどで、車検の際にサイドスリップ測定という項目によって、まっすぐ走るように調整がなされます
まとめ-アライメントの重要性
今回、アライメントにかかわる影響として以下を挙げました。
- タイヤの偏摩耗や車体への慢性的なダメージ
- ドライブフィールの大きな変化
ただ、タイヤの摩耗等に関しては個人の運転による影響も多く、また車検時にサイドスリップという項目があり、その検査を通過できている車であれば大きな問題は生じないでしょう。(ぶつけたり大きくカスタムしたときは別)
一つ言えることはアライメントは非常に繊細なものであり、そのわずかな違いが大きなトラブルこそ生まずとも、走りに変化を及ぼすことは確かです。
アライメントの知識が深まれば、その運動特性変化を生かしてある程度自分好みの操作フィールを持ったクルマにチューニングすることができます。
今一度、愛車のアライメントに関心を持ってみてはいかがでしょうか。
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